愛媛県の産学官研究が結実 認知機能を維持する”オーラプテン”入り河内晩柑ジュース新登場

地域発

柑橘王国・愛媛県の産学官による研究の成果をもとに開発された機能性表示食品「アシタノカラダ 河内晩柑ジュース」が12月17日、えひめ飲料(松山市、髙原茂社長)から発売された。河内晩柑の果皮に含まれる「オーラプテン」という機能性成分がブレンドされた果汁100%のドリンクで、認知機能の維持に役立つというデータが得られている。

河内晩柑は愛媛県の特産品の一つで、同県が生産量日本一を誇る。愛媛県で確認されている柑橘類46収穫品目のうち、河内晩柑は5番めに多く生産されている。「和製グレープフルーツ」ともいわれ、苦味のないさっぱりした味が人気の品種だ。

愛媛県産業技術研究所、松山大学、愛媛大学、えひめ飲料は2014年、特産品である柑橘類の機能性研究(愛媛県の「戦略的試験研究プロジェクト」)に着手。研究対象として選定した20種類の柑橘類の中で、河内晩柑の果皮に抗炎症作用の強い香り成分「オーラプテン」が最も多く含まれることが確認された。オーラプテンが豊富とされるハッサクの3倍以上の含有量だった。

松山大学薬学部の古川美子教授が炎症モデルマウスを用いた動物実験で抗炎症作用について検証した結果、オーラプテンは脳の炎症を抑えることがわかった。

基礎的な研究を終えると、愛媛大学附属病院抗加齢予防センターの伊賀瀬道也医師が、同センターの抗加齢ドック受診者を対象に試験を実施。その結果、1日1本の河内晩柑ジュース(オーラプテンエキス6mgをブレンドした果汁125ml)が認知機能の維持に役立つというデータが得られた。

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3年に及ぶ研究の成果は、”科学的根拠”として消費者庁に送られた。届出は2018年9月に受理され、えひめ飲料で新たに開発されたオーラプテン入り商品には「認知機能の一部である記憶力(言葉を記憶し、思い出す力)を維持する」という文言の表示が可能となった。なお、オーラプテンを機能性関与成分とする機能性表示食品は国内初とのことだ。

産学官研究の成果をもとに開発された河内晩柑ジュース。1本125mgあたり6.0mgのオーラプテンが含まれている。

今回、販売が開始された河内晩柑ジュースは、骨の健康に役立つβ‐クリプトキサンチンを含有する「POMアシタノカラダ みかんジュース(2016年1月発売)」に続く機能性表示食品シリーズ第2弾。えひめ飲料では当面、インターネットを中心に販売していくそうだ。

日本の身土不二 編集部

“機能性研究”という切り口で、農産物・海産物といった地域資源の高度付加価値化、ゼロエミッションの取り組みを取材しています。