好腸、不腸が尿でわかる 名古屋大学発ベンチャー開発の腸内環境検査キット

大学発

腸内環境が美容・健康に大きくかかわることは広く知られている。名古屋大学発ベンチャー企業のヘルスケアシステムズは、腸の状態を尿でチェックできる郵送による検査キット「腸活チェック」を開発した。

腸内環境を整える「腸活」では食べ物や運動、生活習慣の改善など、さまざまな取り組みが行われているものの、自分の腸内の状態を客観的に把握することは簡単ではない。便中に含まれる腸内細菌のDNAを抽出して腸内を評価する方法はあるが、検査結果が出るまでに1ヵ月ほどかかり、1回あたり10,000円以上と高額な検査費もネックとなっていた。

腸活チェックは、「インドール」という物質に注目して開発された。インドールは腸内の悪玉菌によって作られ、肝臓で「インドキシル硫酸」という毒素に変換される。インドールは体臭のもととなり、インドキシル硫酸は血管や内臓にダメージを与えてしまう。

インドールは、食生活の乱れ、ストレスの蓄積、睡眠不足、運動不足などにより、腸内環境が悪化することで増えることがわかっている。また、体内で作られるインドキシル硫酸は、尿とともに体外に排出される。尿中のインドキシル硫酸の量を測定することでインドールの量――腸内環境の状態を把握できるというわけだ。

腸活チェックによる腸内環境の状態はA~Dの4つランクで評価され、検査結果は1週間で得られる。また、費用も3,000円以下の低価格(税抜き2,750円)を実現した。くわしい数値とともに、生活習慣のアドバイスもついてくる。

腸内環境は十人十色。おなかの健康にいいといわれる食品を食べていても、腸内の善玉菌が減ってしまう場合がある。例えば、ヘルスケアシステムズが行った試験では、腸内環境改善にいいとされる食材を食べた人でも効果に個人差があることが確認されている。

同社は、「腸内の状況をこまめに把握したうえで食と生活習慣を見直すことが大切だ」と話している。

日本の身土不二 編集部

“機能性研究”という切り口で、農産物・海産物といった地域資源の高度付加価値化、ゼロエミッションの取り組みを取材しています。