オクラパウダーで血糖値上昇抑制 産学官で指宿産オクラをPR

地域発

鹿児島県指宿市は、オクラの生産量日本一を誇る。砂むし温泉でも知られる指宿市は現在、「地域資源を活用した市民の健康づくりとヘルスビジネスの創出」を推進している。鹿児島純心女子大学の研究で、オクラパウダーに糖尿病の予防効果があることがわかってきた。

指宿産オクラの機能性については、2015年から指宿市とエール(指宿市)、鹿児島純心女子大学の産学官で研究が進められてきた。看護栄養学部健康栄養学科の中野隆之教授が実施した試験では、オクラパウダーにはポリフェノールが豊富に含まれ、抗酸化能があることが確認された。動物実験では、便通改善効果、肝庇護効果も認められた。

エール社で開発されたオクラパウダー

2016年には、市民モニターを対象にヒト介入試験が実施された。試験では、30人をオクラパウダーが入ったカプセルを飲むグループと、オクラパウダーが入っていない偽のカプセルを飲むグループに分け、白米を食べた後、30分ごとに4回採血を行い、血糖値とインスリンの濃度を測定した。試験参加者にはカプセルの中身は知らせず、本物とダミーをそれぞれ7粒(1.5g)と14粒(3g)の計4回飲んでもらった。

その結果、オクラパウダー含有カプセルを飲むと、食後血糖値の上昇が緩やかになり、血中のインスリンの濃度も低くなることがわかった。量による違いも確認され、7粒よりも14粒飲んだほうが効果は高かった。食後高血糖に伴ってインスリンが過剰に分泌される状態が続くと、インスリン抵抗性によって血糖値が下がらなくなり、糖尿病を発症するリスクが高まる。

【リンク】指宿市:地域資源を活用した健康づくりと新たなビジネスの創出

指宿市でオクラの生産から加工までを手がけるエールでは、2015年にオクラパウダーを商品化した。代表の倉本哲さんは、「市場に出せない規格外のオクラを有効活用して、地域活性化や健康づくりに繋げたい」と話す。

生産者や食品関係事業者、観光業者などで構成される「ヘルスケアビジネス協議会」を中心として、オクラを使ったレシピや機能性表示食品を視野に入れた商品の開発を進めていく。

日本の身土不二 編集部

“機能性研究”という切り口で、農産物・海産物といった地域資源の高度付加価値化、ゼロエミッションの取り組みを取材しています。