高純度ノビレチンの機能性解明進む 沖縄発ベンチャー、シークヮーサー研究最前線

沖縄発バイオベンチャー企業が元気だ。琉球ボーテ(中頭郡西原町、島田邦男社長)と沖縄リサーチセンター(うるま市、禹済泰社長)は、琉球大学の照屋俊明教授と連携しながら、県の特産柑橘として知られるシークヮーサーの機能性研究を続けてきた。3月29日、琉球大学ブランドの新商品がお披露目された。

シークヮーサーの果皮には、フラボノイドの一種である「ノビレチン」という機能性成分が含まれている。ジュースなどに加工するときに出るシークヮーサーの搾りかすは、美容・健康成分の宝庫といえる。ノビレチンには、高血圧や高血糖、肝機能異常をはじめ、認知機能改善効果や免疫力増強作用があることが、さまざまな研究機関から報告されているからだ。

2017年に琉球大学発ベンチャー企業に認定された琉球ボーテでは美肌効果を、医学博士でもある禹社長が率いる沖縄リサーチセンターでは、過活動膀胱や前立腺肥大症のほか、間質性膀胱炎という難治の膀胱炎を含む排尿障害に対するノビレチンの効果を検証してきた。

特許技術で開発された高純度ノビレチン「ノビレックス」

2社が原料として採用しているのが、照屋教授との共同研究による特許技術独自技術を使って抽出されたノビレチンエキス「ノビレックス」だ。シークヮーサーの搾りかすにアルカリ水溶液を加える特許製法で、高純度のエキスを得ることに成功した。現在、流通しているノビレチンの純度は1~10%程度。それに対し、ノビレックスの純度は60%(ノビレチンとタンゲレチンで95%)になるという。

琉球ボーテの島田社長は、「ノビレチンが効果を発揮するための量を取るには、搾りかすを大量に用いるか、濃縮をかける必要がある。そのさい、どうしても残るのが残留農薬の不安だ。少ない搾りかすから効率的にノビレチンが抽出でき、農薬を排除できるのも技術のポイントといえる」と解説する。

「Sun Lover(サンラバー)」の開発秘話について語る島田社長。3/12(月)琉球大学地域創生総合研究棟にて

今回、琉球大学ブランドとして琉球ボーテから発表されたのはスキンローションだ。試験では、美白効果や抗紫外線効果が確認されている。「Sun Lover(サンラバー)」というネーミングやデザイン、容量や価格などを検討してきたのは、研究に携わる学生だ。サンエーやイオン琉球など、販路開拓にも取り組んできた。学生からは「研究の成果をお客さんに届ける機会に恵まれて、うれしい。『太陽の下でキラキラ輝きたい』という女性におすすめしたい」という声が聞こえる。

高純度ノビレチンは排尿障害にも有効 間質性膀胱炎の改善効果も期待

一方、沖縄リサーチセンターは、頻尿や尿漏れなどの排尿障害に対するノビレックスの効果を検証してきた。

中枢神経障害(脳梗塞モデル)の頻尿、難治性の頻尿(間質性膀胱炎)、下部尿路障害の頻尿モデル(過活動膀胱と前立腺肥大症モデル)のラットを用いて行われた動物実験では、それぞれの頻尿モデルに対するノビレチンエキスとノビレックスの効果を比較検討。その結果、すべての頻尿モデルのラットで膀胱収間隔の延長・最大膀胱内圧の増加・自発運動量が増加していることが確認された。

排尿障害に悩む患者に対するノビレックスの効果も確認されている。中頭郡北谷町にある北上中央病泌尿器科の菅谷公男副院長も研究チームに加わって実施された試験では、ノビレックスを毎朝飲む群(20人)と飲まない群(20人)に分けて、患者の症状を6週間観察した。

その結果、ノビレックスを飲んだ群の過活動膀胱症状スコアと国際前立腺症状スコアは、飲んでいない群と比べると有意に改善していたという。「ノビレックスが過活動膀胱と前立腺肥大症の改善に役立つ可能性が示唆された。間質性膀胱炎を含む、すべての排尿障害への効果が期待できる」と、禹社長は研究の成果に胸を張る。

シークヮーサー研究を沖縄の農産物の新たなモデル事業にしたいと話す琉球大学の照屋教授。3/12(月)琉球大学地域創生総合研究棟にて

最近の研究では、ノビレックスに体内時計を調整したり、かゆみを抑えたりする働きがあることも明らかになりつつあるそうだ。照屋教授は、「沖縄の農業の基盤産業といえばサトウキビだ。シークヮーサーの有効活用、利用法の拡大によって、沖縄の新しい農産物のモデル事業として育てていきたい」と話している。

 

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