ハダンラップの可能性 皮膚を保護して汗も止める人工皮膜“フィルムスキン”がすごい

2017年11月16日、「香川県ものづくり企業と医療機器メーカーとの展示・商談会in本郷」が医科器械会館(東京都文京区)で開催された。その中でも注目を集めていた一つが、「フィルムスキン」という技術だ。

フィルムスキンは、香川県東かがわ市にある日本健康科学研究センター所長の岩倉泰一郎博士の技術をもとに、香川県産業技術センターの研究協力を受けて誕生した。徳島大学医学部皮膚科眉遥会にも所属する岩倉博士は、アトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚病の治療薬の研究開発に携わってきた肌のスペシャリストとして知られている。

食物繊維に含まれているセルロースなどを原料としたジェル状の液体を塗ると、汗などの水分と素材が反応して、およそ10秒で皮膚表面に厚さ約30μの人工の膜が形成される。これがフィルムスキンの技術だ。肌にラップをかけるイメージといっていいだろう。水や汗で流れ落ちることなく、塗ってから8~10時間は効果が持続する。

日本一の手袋の産地として知られる東かがわ市発の技術を用いて開発された「エバーテック」などの商品は、“塗る手袋”と呼ばれ、美容師や理容師、介護士をはじめ、手を酷使している主婦の手荒れ対策などの用途で愛用されてきた。

手の保護剤として知る人ぞ知る存在だったフィルムスキンの用途は広い。耐水性が高く、ほかの成分を混ぜ合わせることもできるため、滑り止めや制汗剤、日焼け止めや虫よけとしても応用できる。

実際、2018年3月の発売を目指して商品開発が進められている。酸化亜鉛などのUVカット成分が含まれる超微小カプセルをフィルムスキンに配合したところ、紫外線対策素材として良好な成績が得られている。

皮膜を8時間海水にさらして類似製品と塗布保持量を比較する試験では、ウォータープルーフをうたう対象群よりも圧倒的に高い耐水性があることが実証された。紫外線カット率でも、類似製品に劣らない結果が示されている。UVA、UVB、両方の波長域で効果を発揮していた。商品化のさい、SPF、PAともに最高ランクを獲得する予定だ。

虫が苦手なハーブなどの香料が配合された虫よけも開発されている。そのほか、フィルムスキンは手のひらや脇などに塗れば、多汗対策や滑り止めとしても使用可能だ。エバーテックなどの販売を手がけるオルカ(香川県高松市)の島原信作企画営業部長によると「香川県では最近、医師の指導のもと、褥瘡対策でフィルムスキンを導入する介護施設も出てきた」とのこと。

一連の商品化の動きは、アルコールフリーを可能にした岩倉博士の“改善”あってのものだ。「皮膜を形成するにはアルコールが必要だったが、改良を重ね、より肌に優しい素材の完成に近づいた」と岩倉博士は胸を張る。肌荒れやアレルギー体質の人でも使用しやすくなったフィルムスキン。香川発の技術は、“肌のなんらかの悩み”改善に役立ちそうだ。

 

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