沖縄アロエ、シークヮーサーの収穫・加工ピーク 高純度ノビレチン“ノビレックス”の商品化も進む

地域発

沖縄を代表する特産品の一つ、シークヮーサーの収穫・加工がピークを迎えている。今帰仁村にある沖縄アロエ(名護市、湧川英男社長)の工場には、柑橘特有の香りが広がり、一定のテンポで刻まれる機械と果実を洗浄する水の音の中、収穫されたばかりの青切りシークヮーサーが、搾りたてのジュースに姿を変えていくようすを見ることができた。

今帰仁村にある沖縄アロエの工場に運ばれてくるシークヮーサー。弊社インターンも見学させてもらった

「ここは中学校の給食センターだったんです」といって工場を案内してくれたのが、沖縄アロエの川満枝美さんだ。アロエベラ生産組合として1991年に事業をスタートさせてから、アロエベラジュースを主力商品としてきた同社では、2000年ごろからタンカンやカーブチー、シークヮーサーのジュースやジャム、ゼリーといった加工品の製造販売を手がけるようになった。

そんな中でも現在、沖縄アロエのイチオシはシークヮーサーだという。今帰仁村の工場では、シークヮーサー果汁、果汁を含んだパルプと呼ばれる繊維、搾りかすとして残った果皮と、果実は連日、”価値ある3つの姿”に変身している。多い日は、1日に15㌧のシークヮーサーが加工されているそうだ。

箱の中に入っているのシークヮーサーは約1㌧。ベルトコンベアで工場内を移動していく

契約農家だけでも150戸以上になる生産者から納品されたシークヮーサーは、工場の出入り口に設置された装置の大きなかごに入れられる。かごの中は、1㌧のシークヮーサーで満たされるそうだ。

目視による果実のチェックが行われている

果実はベルトコンベアで洗い場へと移動していき、目視によるチェックをクリアしたものが洗浄されていく。その後、スライサーで皮に切り込みを入れると同時に遠心分離にかけられ、果汁と果皮が取り出される。さらに、ふるい機を用いてパルプを抽出していく。果汁はパイプを伝って工場の奥まで流れていき、パルプは専用の容器にストック。果皮は工場の外へと運ばれていく、というのが加工の一連の流れだ(ジュースは冷凍した状態で本社へ運ばれ、殺菌・滅菌されているとのこと)。

洗浄されていくシークヮーサーの果実

パルプはあらごしのジュースになるほか、ケーキをはじめとする菓子などに使用され、廃棄されがちだった果皮は、琉球大学や琉球大学発ベンチャー企業で研究・開発されている高純度ノビレチン「ノビレックス」の原料となっている。糖・脂質代謝改善、認知機能改善、肥満改善、排尿機能改善効果、美白効果が期待される注目の機能性素材も、今帰仁生まれというわけだ。

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沖縄アロエでは現在、ノビレックスを主原料とする自社ブランドの健康食品の開発を進めている。湧川武史専務は、「企業の体力があるうちに、新しいことにチャレンジしていく方針だ。沖縄産素材にこだわり、今後は健康の悩みや不安の解消にも貢献していきたい」と話す。商品化は2019年1月メドとのこと。

シークヮーサーの果皮。廃棄されることなく、高純度ノビレチン”ノビレックス”の原料となる

沖縄県産業支援センター(那覇市)で10月19日に開催される「ノビレチン研究会 第2回学術集会」では、ノビレックスをはじめとするノビレチンの最新の学術情報が発表される予定となっている。

搾りたてのシークヮーサージュースがこちら

搾りたてのシークヮーサージュースが充填されていくようすは、こちらから。

日本の身土不二 編集部

“機能性研究”という切り口で、農産物・海産物といった地域資源の高度付加価値化、ゼロエミッションの取り組みを取材しています。