今帰仁クワンソウの花が見ごろ 花畑散策や花摘み体験、新たな観光スポット定着なるか

地域発

鮮やかなオレンジ色が美しいクワンソウの花が見ごろを迎えている。9月13日のクワンソウの日を前に、今帰仁ざまみファーム(沖縄県今帰仁村字上運天、座間味久美子社長)を訪ねた。朝咲いて夕方にはしぼんでしまう一日花。9~11月のクワンソウの開花時期に合わせて、現地では花畑散策や花摘み体験の準備が進められていた。

和名で「アキノワスレグサ」と呼ばれるユリ科のクワンソウは、沖縄県が指定した沖縄伝統野菜28品目の一つだ。

甘みがありシャキシャキした食感が特長の白い茎は和え物や煮込み料理などに、金針菜として中華料理ではおなじみの緑蕾、開花直前の黄蕾は炒め物やスープなどに、ほんのり甘い香りのする花は、天ぷらやお吸い物、サラダや酢の物などにすることが多いそうだ。硬くて食べにくいものの機能性成分が豊富な葉は、お茶やサプリメントの原料として加工される。

今帰仁クワンソウの花。採れたての花は野菜のようにシャキシャキとした食感だった

「12年前からおじが苗を少しずつ集めてクワンソウの栽培を進めていき、その後、志を引き継いだ私たちで5~6年前から花畑散策や花摘み体験を企画・実施するようになった。食材として棄てるところがなく、目で見て楽しめるのもクワンソウの魅力」と話すのは、座間味社長だ。同社では契約農家と協力しながらクワンソウの栽培、収穫、一次加工、販売を手がけている。

クワンソウの栽培・収穫・一次加工・販売を手がける今帰仁ざまみファームの座間味社長

加工場にもなっている事務所では、収穫したクワンソウを選定・選別した後、洗浄してからスライサーで細かく刻み、乾燥保存していくという作業が行われている。並行して、花のシーズンには観光客の受け入れにも奔走している座間味社長の行動力はパワフルだ。

座間味社長が「県外でのクワンソウの認知も高くなってきているのではないか」と話すとおり、同社が原料として供給しているクワンソウの商品の数は増え、現在はお茶やジャム、ピクルスや味噌、ソーダや酵素ドリンクなどが県内外の取引先から販売されているという。

今帰仁クワンソウの加工食品

クワンソウ人気の理由の一つには、健康食材としての評価の高まりが挙げられるだろう。ソムノクエスト(那覇市、江口直美社長)による健康効果の発表後、天然の睡眠改善素材、抗ストレス素材として、クワンソウは機能性の面でも注目されるようになった。

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「それでもクワンソウを知らない人のほうがまだまだ多い。より身近に感じてもらえるようにインスタ映えのアイテムも用意した。クワンソウの日から投入予定だ」と、座間味社長からさらなる飛躍のための秘策を聞くことができた。「眠り草本舗」という商標を取得した同社では、今後も今帰仁クワンソウのブランディングに力を入れていく。

沖縄本島北部、本部半島の北東部に位置する今帰仁村には、沖縄自動車道経由(許田)で那覇市から車で90分程度で行くことができる。近くには古宇利島をはじめとする観光地も多数あり、ドライブコースとしてもおすすめだ。花畑散策や花摘み体験など、今帰仁ざまみファームへの問い合わせは、こちらから。

今帰仁ざまみファーム:http://zamamifarm.com

日本の身土不二 編集部

“機能性研究”という切り口で、農産物・海産物といった地域資源の高度付加価値化、ゼロエミッションの取り組みを取材しています。