ヤマブドウに抗糖尿病作用あり 搾りかすポリフェノールがAGE生成をブロック

岩手県を代表する農産物の一つとして知られるヤマブドウ。日本に自生する固有種であるヤマブドウの生産量は同県が日本一で、シェアの約60%を占める。岩手県では以前から、果汁やワインなどの特産品が製造されている。ヤマブドウ果汁の搾りかすには、老化の原因物質ともいわれる終末糖化産物「AGE」の生成を抑制する働きがあることがわかってきた。

酸味の強いヤマブドウ果汁の正体は、豊富に含まれているリンゴ酸や酒石酸だ。リンゴ酸や酒石酸の含有量はそれぞれ、キャンベルなどの黒ブドウの2倍、3倍になるという。1㍑あたり2㌘と、ブドウ果汁の数倍のポリフェノールも含まれている。

ヤマブドウ果汁の搾汁率は60%前後と低く、搾りかすが大量に廃棄されることが問題となっていた。果汁搾汁後の搾りかすには、果実全体のうち8割のポリフェノールが残る。機能性成分の宝庫だ。 岩手県工業技術センター、岩手大学農学部は、ヤマブドウの搾りかす抽出物の抗糖尿病作用について研究を進めてきた。

研究では、ヤマブドウ搾りかすのAGE生成阻害効果が検証された。AGEは終末糖化産物と呼ばれる物質で、高血糖状態が続くと非酵素的糖化反応(グリケーション)によって増え、糖尿病網膜症や腎症、神経障害など、糖尿病合併症の原因の一つになるとされている。実際に、糖尿病患者はAGEが多いという報告もある。

グリケーションには活性酸素がかかわっており、抗酸化物質で糖化反応を抑制できるという海外の報告があった。岩手県工業技術センターの小浜恵子理事兼地域産業技術統括部長は、「岩手大学農学部の長澤孝志教授が、ソバに多く含まれるルチンがグリケーションを抑制することを突き止めていた。代表的な食事由来の抗酸化物質であるポリフェノールを含むヤマブドウにも同様の働きが期待されると考えた」と、研究の狙いを振り返る。

試験管を使った実験では、ヤマブドウ搾りかす抽出物が濃度依存的にAGEの生成を抑制することがわかった。健康なラット、糖尿病(1型)を誘発したラット、ヤマブドウ搾りかす抽出物を経口投与した糖尿病ラットの肝臓、腎臓のAGE量を比較する試験も実施。30日後にAGE量を測定した結果、糖尿病ラットでは腎臓、肝臓ともにAGEが増加していたのに対し、ヤマブドウ搾りかす抽出物を摂取していた群では増加が抑えられていた。

「血糖値は改善していなかったことから、ヤマブドウ搾りかす抽出物のポリフェノールはグリケーションの後期段階の反応に作用していると考えられる」と、小浜恵子理事兼地域産業技術統括部長は話している。

岩手県では、ヤマブドウの葉や剪定枝などの活用法の検討も進められている。2017年には、剪定枝の切り口からしたたる樹液を使った化粧品が開発された。紫外線ダメージによる皮膚水分量が回復することがわかり、「飲む美容水」として注目を集めている。

 

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