クロモジエキスの抗ウイルス作用をヒト試験で確認 健康素材としての新たな活用法に期待

養命酒製造(東京都渋谷区、塩澤太朗社長)は6月2日、日本感染症学会学術講演会でクロモジエキスの抗ウイルス作用を発表した。国立国際医療研究センター研究所感染症制御研究部(以下、「NCGM」)、愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターと共同で実施された試験の結果を取りまとめたもの。養命酒製造は今後、クロモジエキスを活用した新製品の開発を検討していく。

クロモジは日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木で、和菓子などに添えられる高級楊枝やリラックス効果のある日本産精油などに活用されている。養命酒製造では30年以上、クロモジの機能性に関する研究を続けてきた。

高級楊枝として活用されているクロモジ

今回の試験では、愛媛大学医学部附属病院看護部の全面協力のもと、看護師ら男女134人を対象として二重盲検試験が実施された。試験期間は2017年12月〜2018年3月。インフルエンザワクチンを事前に接種した参加者を2つのグループにわけ、クロモジから抽出されたエキスが含まれている食品と、クロモジエキスが含まれていない対照食品(プラセボ)を1日3回、欠かさずに取ってもらうというのが試験の内容だ。クロモジエキスの摂取量は、1回あたり67㍉㌘、1日計201㍉㌘に設定されている。

試験期間終了後、クロモジエキスによるインフルエンザの感染予防効果が確認された。愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの伊賀瀬道也センター長によると、「プラセボ群は67人中9人(13%)がインフルエンザに感染したのに対し、クロモジエキス摂取群の感染者は67人中2人(3%)だった。インフルエンザに罹患する確率が明らかに下がり、統計的に意味のある違いを指す有意差も認められた」とのことだ。

ウイルスに感染させた細胞のようす。ウイルスの増殖によって周辺の細胞が死滅すると、プラーク=白く抜けた部分が形成される(左)。クロモジエキスを添加すると、ウイルスの増殖が抑制され、プラークの形成がなくなる(右)

ウイルスには、細胞内の活性酸素を増やして細胞を弱らせながら増殖していく性質がある。NCGMの基礎研究により、活性酸素に対抗しているのは、クロモジエキスに含まれる「プロアントシアニジン」というポリフェノールであることがわかっている。プロアントシアニジンは細胞内の抗酸化酵素を活性化させ、活性酸素を中和することで間接的にウイルスの増殖を抑え込む。抗ウイルス作用は非特異的で、インフルエンザに限らず、ノロウイルスやロタウイルスなどに対する感染予防効果も期待できるという。

健康素材としてのクロモジの新たな活用法の確立が期待される

NCGMの吉仲由之客員研究員は、「プロアントシアニジンが細胞に触れることで『AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)』という酵素を活性化し、細胞中の活性酸素を減らす働きのある『Mn-SOD(マンガンスーパーオキシドディスムターゼ)』という酵素の量を増やすことが確認されている。抗ウイルス作用は活性酸素の減少によるものと考えられる」と解説する。

NCGMの基礎研究では、ウイルス表面に吸着したプロアントシアニジンが膜を破壊し、ウイルスを不活性化させることも、これまでに確認されている。

日本に自生している植物の抗ウイルス作用を調べてきた吉仲客員研究員。今後、抗ウイルス剤開発の標的とし、汎用性ワクチン開発の可能性を検討していくことを視野に入れている。そのほか、研究グループは、新たな健康素材としてのクロモジの活用法について調査していく方針だ。

 

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