股関節置換術、ちょっと待った!貧乏ゆすり器“足ゆらマシン”で軟骨再生

股関節の軟骨がすり減って生じる炎症によって痛みが起こる変形性股関節症は、高齢者を悩ませる痛みの原因の一つだ。運動療法や薬物療法、杖の使用による「保存療法」、手術によって股関節の形を整える「温存手術」、股関節そのものを置き換える「人工関節置換術」が、変形性股関節症の主な治療法とされる。

福岡県柳川市にある柳川リハビリテーション病院の井上明生名誉院長は、2016年3月に全国有数の著名な股関節の専門医とともに「ジグリング研究会」を立ち上げ、変形性股関節症の新たな保存療法の確立を目指している。

ジグリングとは、貧乏ゆすりのことだ。ジグリングを日課にすることで、痛みが和らいだり、軟骨が再生したりする症例が見られている。「すり減った軟骨は再生しない」というのが、これまでの医学の常識だった。ジグリングの方法は簡単で、イスに座って、症状がある側の脚で、文字どおり貧乏ゆすりを行うだけというものだ。

貧乏ゆすりの方法は簡単だが、毎日続けるというのは容易ではない。実際、貧乏ゆすりを勧めた患者からは、「うまくできない」「時間がない」「筋肉痛になった」という声が出た。そこで井上名誉教授が地元のメーカーと共同開発したのが「健康ゆすり」という器具だ(管理医療機器)。健康ゆすりは、福岡市にある株式会社トップランで製造されている。座ったまま足をペダルに乗せるだけで貧乏ゆすり運動ができるという優れものだ。

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柳川リハビリテーション病院では、2013年から健康ゆすりを導入している。従来の貧乏ゆすりでは、キアリ手術という温存手術の術後、股関節のすき間が開くまでに1年半ほどを要していたのに対し、健康ゆすりを導入してから、6ヵ月前後で改善する例が相次いだ。1日2時間ほど使用すれば、数ヵ月〜数年で関節裂隙の拡大がレントゲン写真で確認できるようになる場合も少なくないという。痛みだけに限れば、1日20~40分の使用を2〜3ヵ月続けるだけで軽減される例も多い。5~20分を1セットとして毎日複数回、続けるのがポイントだ。

足ゆらマシンで人工股関節置換の再手術を回避

股関節の痛みやすり減った軟骨の状態が改善して患者の生活の質(QOL)が向上すれば、人工関節置換術を先延ばしすることができる。井上名誉院長によると「人工関節には約20年という耐用年数があり、手術の受けるときの年齢が若ければ若いほど、再手術の可能性が高まる」というリスクを伴い、それを回避できるのもメリットの一つだ。変形性股関節症の治療では、自分の股関節をいかに長く維持するかが重要なのである。

健康ゆすりは、過去に股関節の温存手術をし、再び悪化してきた患者にも有効だ。臼蓋形成不全の程度が軽い場合は、変形性股関節症の進行を食い止めることもできる。また、温存手術によって骨盤の形状異常を改善してから健康ゆすりを使用することも可能だ。

井上名誉教授は、「貧乏ゆすりの学術的な検証をさらに進め、貧乏ゆすりという保存療法の普及を図るため、ジグリング研究会の成果を日本から世界へ発信し、同じ疾患で苦しむ世界中の患者さんの治療に役立てていきたい」と話している。

 

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