栃木県小山市(大久保寿夫市長)、新小山市民病院(島田和幸理事長・病院長、中野真宏予防医学センター長)、名古屋大学発ベンチャー企業のヘルスケアシステムズ(名古屋市千種区、瀧本陽介社長)が共同で、市の特産品であるハトムギの健康保持機能の実証実験に乗り出した。
プロジェクトは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における「次世代農林水産業創造技術」の「ホメオタスシス維持機能をもつ農林水産物・食品中の機能性成分評価手法の開発と作用機序の解明」の事業の一環として実施される。
「高齢になっても元気で生き生きと暮らせる町づくり」を目指している小山市。目をつけたのが、特産品のハトムギだ。ハトムギには、免疫力増強効果や生活習慣病の予防効果などがあるといわれている。小山市は、全国でもトップクラスのハトムギの生産量を誇る。
プロジェクトには、バイオマーカー、検体検査技術の研究開発などの事業を手がける名大発ベンチャーのヘルスケアシステムズが加わった。新小山市民病院と協力しながら、特産品の機能性の解明を進めていく。
4月には、健康な日本人の男女305人(20歳〜64歳)を対象に、採血、計測、問診、生活習慣のアンケートといったスクリーニング検査を実施し、新小山市民病院の医師による総合的な判断をもとに120人の試験参加者を選定した。
6月からハトムギ茶か対照食品となる麦茶の摂取を8週間継続する。それぞれのお茶を1日500㍉㍑ずつ飲むだけ、という簡単な内容だ。6月中に摂取前の検査を実施し、8週間後の8月に摂取後のデータを取る。
各種検査では、免疫細胞である好中球細胞の活性度、酸化ストレスのマーカーである酸化LDL量、微生物など生体内の異物を排除する能力である食細胞貪食能などを測定していく。「効果が証明されれば、小山市のハトムギのPRにも繋がる」と市は期待を寄せる。
尿や便の郵送による健康状態の検査キットなどの研究開発を行うヘルスケアシステムズの瀧本社長は、「国産の農林水産物の高付加価値化に繋がる技術革新はもちろん、新規就農者の増大や生産者の所得向上も目指していく」と、今回のプロジェクトの意義を説明する。