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函館産アカモクが肥満を抑制!北大など産学官連携の地域活性化事業

地域資源の付加価値を見出し、地元の企業が大学や公的機関などと連携してサプリメントや化粧品を開発する取り組みがを全国的に進められている。北海道函館市にある株式会社ノース技研は、産学官連携の地域活性化事業「函館マリンバイオクラスター研究会」に参加しており、北海道大学大学院の宮下和夫教授による研究成果をもとに、アカモク由来のフコキサンチンというカロテノイドが含まれるサプリメント「フコキサンチン1000」を販売している。宮下教授の研究で、アカモク由来のフコキサンチンには脂肪の燃焼を促すほか、血糖値の上昇を抑える働きがあることがわかってきた。

アカモクはコンブやワカメなどの褐藻類に分類される海藻の一種。小さな気泡をまとう姿が稲穂に似ていることから、縁起ものとして古くから珍重されてきた歴史がある。実際に日本では古来、神事・祝事・正月飾りなどで用いられ、万葉集にも美の代名詞”玉藻”として登場している。たんぱく価を意味するアミノ酸スコアが優れているのも特長の一つだ。具体的には、白米62、小麦36に対し、海藻のたんぱく価は91もある。さらに、難消化性の食物繊維やミネラルも豊富で、EPAなど良質な脂質を含まれている。そんな中でも最も注目されているのが、褐藻類に多く含まれているフコキサンチンというわけだ。

アカモクの赤いフコキサンチンが脂肪の燃焼をサポート

世界で初めて函館産アカモクから赤いフコキサンチンを抽出することに成功した宮下教授が機能性の探索を続けたところ、ダイエット効果が明らかになった。肥満のマウスと糖尿病のマウスを使った実験では、それぞれ内臓脂肪の減少と高血糖の改善が確認されている。脂肪の蓄積を阻害するたんぱく質「UCP1」が白色脂肪細胞に現れ、脂肪が貯まる前に熱に変える作用があることを宮下教授は突き止めた。

肥満の人を対象にした試験も行われている。アカモク由来のフコキサンチンを摂取しないプラセボ(対照群)と比較したところ、体重や体脂肪、血液脂質や肝臓脂質が減少するという結果が得られたという。試験では有意差も認められている。

「現在、サプリメントや機能性食品が開発されている。アカモクの粉末を練り込んだソバやパスタ、バターやドーナツなど、さまざま。ダイエット効果のほかにも、血圧の上昇を抑える効果も期待される」と宮下教授は話している。なお、アカモクに含まれるフコキサンチンの量は、冬から春にかけて増えていくそうだ。サプリメントだけに頼ることなく、”旬”を意識しながらアカモクを選ぶといいだろう。

日本の身土不二 編集部

“機能性研究”という切り口で、農産物・海産物といった地域資源の高度付加価値化、ゼロエミッションの取り組みを取材しています。

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