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新潟で発見された越後白雪茸の肝臓保護作用に注目 NASHの予防・改善に有効か

越後白雪茸が新潟県魚沼市の山奥で発見されたのは、1998年のことだ。一般的なキノコに見られる担子器という楕円形の傘を作らず、トリュフのような容姿から発見当初、越後白雪茸は「白トリュフ」と呼ばれていたという。

マイコロジーテクノ(新潟市、津野芳彰会長)は、1998年から越後白雪茸の人工栽培を手がけている。厳格な温度管理、生産管理のもと、安定した生産が可能になり、越後白雪茸は知る人ぞ知る名産品となった。

近年、注目されているのが越後白雪茸の健康効果だ。2009年以降、機能性研究が盛んになり、最近では肝臓の保護作用があるとされるクコの実(ゴジベリー)と同じ有効成分が越後白雪茸に豊富に含まれることがわかってきた。越後白雪茸の研究を進めてきた中心人物が、新潟薬科大学の小西徹也名誉教授だ。

発見当初、“白いトリュフ”と呼ばれていた越後白雪茸。現在は人工栽培されている

「聖マリアンナ医科大学で実施された動物実験で免疫賦活作用が示されたのが、研究のきっかけとなった」と振り返る小西名誉教授は、新潟薬科大学で動物実験を行ってきた。通常のエサを与えるグループ(対照群)、高脂肪・高ショ糖のエサを与えるグループ(肥満群)、越後白雪茸の乾燥粉末を含む高脂肪・高ショ糖のエサを与えるグループ(越後白雪茸群)の3群にラットをわけ、生後4週齢から100日間飼育した後、それぞれのグループの“健康状態”が観察された。

その結果、肥満群の内臓脂肪量が平均48㌘だったのに対し、越後白雪茸群の内臓脂肪量は平均29㌘と有意に低い値であることがわかった。また、肥満群の肝臓の中性脂肪は75㍉㌘だったのに対し、越後白雪茸群は30㍉㌘と低い値を示した。体重については、重い順に肥満群、対照群、越後白雪茸群となり、越後白雪茸のダイエット効果も証明された。

小西名誉教授は、「肥満群のASTが400、ALTが410という異常値を示していたが、越後白雪茸群はそれぞれ40、30と、ほぼ正常値にとどまっていた」と解説する。

肝機能障害の中でも現在、増加傾向にあるのが非アルコール性脂肪肝炎と呼ばれる「NASH」だ。非アルコール性脂肪肝疾患「NAFLD」がさらに悪化すると、肝臓に炎症や線維化を伴うNASHになる。新潟薬科大学では、マウスを使ってNASHに対する越後白雪茸の効果が検証されている。

実験ではマウスを、通常のエサを与えるグループ、化学物質を注射した後、高脂肪のエサを8週間与えてNAFLDの状態にしたグループ、化学物質注射後、高脂肪のエサを16週間与えてNASHの状態にしたグループ、化学物質注射後、高脂肪のエサを16週間与え、12週めからは越後白雪茸エキスを加えたグループの4群にわけ、試験期間終了後に肝臓の状態を確認した。

NAFLD群のマウスは、脂肪滴がたまって炎症を伴うNASHへの進行が認められた。また、NASH群のマウスは、肝臓の悪化が進み、線維化よる肝細胞が破壊されているようすが確認されたという。一方、越後白雪茸群のマウスの肝臓は、脂肪滴の蓄積や肝細胞の障害が改善していたそうだ。

「越後白雪茸の肝機能保護作用が示された結果といえるだろう」と、小西名誉教授は研究の成果に胸を張る。現在も、小西名誉教授を中心に越後白雪茸の研究は続けられている。研究チームは、地元の特産品をNASHの予防や改善に役立てていく考えだ。

日本の身土不二 編集部

“機能性研究”という切り口で、農産物・海産物といった地域資源の高度付加価値化、ゼロエミッションの取り組みを取材しています。