ローズファームきたみ(北海道北見市)は、バラの6次産業化に取り組んでいる。北見産学医共同センターや北海道立オホーツク圏地域食品加工技術センターと連携しながら開発されたのが、ローズウォーターやローズエキスだ。これまでの研究で、アルバ種というバラの品種に虫歯の原因となる酵素の働きを阻害する効果があることがわかってきた。
バラの栽培には、寒暖差のある地域が適しているといわれている。寒冷地でも比較的育ちやすいものの、冬は氷点下20℃まで冷え込むこともある北見市でのバラの栽培には苦労も多い。ローズファームきたみの代表の藤井裕子さんは「ビニールハウスを使わず、露地栽培をしている。500種類のバラを栽培しながら、どの品種が生き残るか、試行錯誤を続けてきた」という。現在は、ハッカの搾りかすを使った有機栽培で、11ヘクタールという広大な敷地で3000本のバラが花を咲かせるようになった。
藤井さんイチ押しのバラが「アルバ種」だ。バラには一季咲き・四季咲きがあるが、アルバ種は一季咲きに分類される。アルバという名は「白い花」に由来し、毎年6月中旬から7月下旬にかけて、白、アイボリー、淡いピンクの花を咲かせる。淡く優しいフローラルの香りが特長だ。
ローズウォーターには通常、ゲラニオール、シトロネロール、ネロール、フェニルエチルアルコールといった芳香成分が500以上含まれている。ローズファームきたみと北見産学医共同センターとの共同研究で、アルバ種のローズウォーターには、フェニルエチルアルコールが多いことが特定された。
その後、オホーツク圏地域食品加工技術センターでは、ローズエキスの機能性の研究が進められた。その結果、虫歯のもとになる歯周病菌を増やす「グルコシルトランスフェラーゼ」という酵素の働きを抑制することが明らかになった。「香りがよくて体にもいいのが、北見のバラだ。虫歯や歯周病対策として、うがい用マウスウォッシュやガムなど、アイデア次第で商品化のバリエーションも広がる」と、藤井さんの夢は広がる。
ローズファーム北見では現在、芳香剤として使える蒸留水「アルバローズウォーター」や保湿化粧品「SNOW ROSE」を展開している。